第9回「同種骨髄移植では免疫抑制剤を用いる。」

解剖生理学が苦手です

骨髄の移植では、他の移植とは違う問題が生じます

骨髄の移植では、他の移植とは違う問題が生じます
同種骨髄移植とは、白血病や再生不良性貧血といった、正常な血液を造れなくなる病気の患者さんに用いる治療法です。

ヒトの血液は骨の中にある骨髄の造血幹細胞という細胞で造られています。白血病等の患者さんはこの細胞ががん化してしまう事によって正常な血液を造れなくなってしまっているので、治療には正常な造血幹細胞を移植する事が必要となる場合があります。同種骨髄移植の場合、適合の型(HLA抗原という)の合った提供者(ドナー)の骨髄液を骨髄穿刺によって採取し、その骨髄液を予め化学療法で造血幹細胞を死滅させておいた患者(レシピエント)に静注します。

移植の場合、型を合わせたからといっても他人の身体の一部を体内に入れるわけですから、患者さんの身体には患者さんの免疫作用による様々な拒絶反応が生じます。特に同種骨髄移植の場合、通常の移植臓器による拒絶反応よりさらに厄介な移植片対宿主病(GVHD)という問題が生じる事があります。通常の拒絶反応では移植された臓器が障害を受けるのに対し、GVHDが発症すると移植された骨髄が患者さんの身体(皮膚・消化管・肝臓等)を蝕んでいくのです。

これらの問題は免疫反応によるものなので、移植を受けた患者さんには免疫抑制剤の投与を行います。

ただし免疫を抑制するという事は、同時に他の病原菌に対する感染のリスクを伴いますので、無菌室(クリーンルーム)にて安静にしつつ感染症に注意する必要があります。