第1回「そもそも解剖学って何のための教科なんですか?」

解剖学の勉強のコツを教えます三浦智解剖学は「ヒトの身体のつくりや形」を扱い、医療系学校の多くで1年目の授業として学ぶものです。まだ医療のことがよくわからない1年生の授業なのに、聞いたことのない専門用語が飛び交い、ちょっと気を抜くとすぐに授業についていけなくなるので、苦手意識を持っている人が多い分野でもあります。

そこで、この誌上講義では、多くの方が苦手意識を持っているだろう「人体解剖学」の勉強のコツを連載でお送りしたいと思います。

本来の機能がわかって初めて、看護ができる
以前、解剖学の授業を終えた後に、学生さんから「病気の勉強は分かるけど、どうして身体の器官の名前をこんなに細かく覚えるんですか?」と質問されたことがあります。皆さんは、こう聞かれてちゃんと答えられますか?

まず言えることは、ただ器官の名前を覚えればいいわけではない、ということです。人体を作る組織・器官にはそれぞれ果たすべき機能がありますよね。医療機関に来る「患者」さんは、そういった機能のどこかが「具合が悪い」ということになります。そんな患者さんに医療を提供するためには、まずは「組織・器官が本来どういう働きをし、どういう状態にあるのか」を知らなければなりません。

例えば「胃の働き」が分かるからこそ、胃の内側が侵され、進行すると胃に穴さえも開いてしまう「胃潰瘍」という病気の看護方針が立てられます。心臓や脳なども、同じだと言えるでしょう。

人体解剖学は、「人体の組織・器官」がどうあるべきか、そしてどういう役割・機能を持っているかを知るためにあるのです。そんな、看護や医療の大事な基礎だからこそ、1年生の最初に学ぶんですね。そして実際、看護師として働き始めてからも、ずっと「解剖学」的な考え方や物の見方は必要になるんですよ。

頁暗記を助けるちょっとしたコツを探そう
さて、とはいえやはり大変という気持ちも分かります。確かに最初に覚えなければならないのは、骨、筋肉、血管、神経、臓器(器官)等と幅広く、骨だけを見ても全部で206個ありますから…。

まずは骨から覚えることをお勧めします。というのも、筋肉、血管、神経には骨と関連した名称が多いのです。たとえば、「胸鎖乳突筋」は胸骨と鎖骨と頭蓋骨の乳突をつなぐ筋、「腸骨動脈」は骨盤の腸骨のところを通過する脈、「腓骨神経」は脚の腓骨から分かれる神経です。

また、よく出現する漢字の意味も知っておきましょう。たとえば、頭蓋骨、膝蓋、喉頭蓋に出てくる「蓋」は「ふた」を意味します。顔、額、頬、項など、漢字の右側に「頁」があると人体の上部の方を指します。同じ「ケイ」という読みでも、「頸」は「くび」で「脛」は「すね」を意味します。

こういう風に、慣れると色々なコツが見えてくると思います。ちょっと意識してみてくださいね。では、また