第11回[母性看護学]前置胎盤について正しいのはどれか。

看護国家試験対策講義

母性看護学

前置胎盤について正しいのはどれか。【第100回】

1.出血は主に内出血である。
2.妊娠高血圧症候群に合併する。
3.出血は痛みを伴わない場合が多い。
4.胎盤の下縁が内子宮口に達しないものをいう。

前置胎盤の場合、帝王切開をする必要があります

みなさんこんにちは!
今回一緒に勉強するのは母性看護学です。この科目は、大好きですと答える方がいる一方で、苦手の筆頭にあげる方もいて、両極端な科目と言えるでしょう。母性が好きな人はぜひ助産師への道を目指して下さい!

今日の問題は今年行われた第100回の国家試験に出題された母性看護学の問題です。それでは早速講義に入りましょう。

胎児が育つ環境は子宮の卵膜に包まれた羊水の中です。この環境で胎児はいったいどのように呼吸をしているのでしょうか? 密閉された羊水の中にいるのですから外気に触れることはありません。つまり肺呼吸はしていません。胎児の細胞に届けられる酸素は、お母さんの血液に運ばれてきたものです。お母さんの血液は胎盤に注がれます。胎児はその胎盤に張り巡らされた根っこ(絨毛)からお母さんの血液を吸収して自分の体内に引き込んでいます。胎盤は人工呼吸器と同じ役目をしていると思って下さい。ですから無事に生まれて自発呼吸を始めるまでは、この人工呼吸器を外すことはできません。 ここで正常分娩の経過を思い出してみましょう。分娩は10分以内の規則的な陣痛でスタートし、この陣痛によって少しずつ子宮口が開き始めます。直径約10cm開ききれば全開大です。全開大した子宮口から胎児が娩出されます。そして最後に胎盤が娩出されます。つまり胎児が娩出されて自発呼吸をしてから胎盤娩出と続きます。自発呼吸→人工呼吸器が外れる、という事になり、理にかなった進行をたどるわけです。

通常子宮口が開くと胎児の頭があります。胎児の体は頭が最も大きいので、頭が産道を通過すればもう安心です。そして胎盤は子宮口とは反対の子宮底、つまり上部に存在していますので、胎児→胎盤の順に娩出されるのです。

胎盤
ところが、もし胎盤→胎児の順に娩出されるような事が起きたらどうなるでしょう。実は前置胎盤という状態がまさにそれなのです。子宮口の上に胎盤があってその先に胎児がいるのです。ですから子宮口が開くにつれて胎盤が剥離してしまいます。自然に任せれば胎盤→胎児の順番に娩出されてきます。これでは自発呼吸の前に人工呼吸器が外れる事になってしまいますから、呼吸が確立する前に酸素が届かなくなって胎児が死んでしまいます。そこで胎児が生まれて自発呼吸をしてから人工呼吸器を外すという順番にするために、帝王切開をする必要があります。子宮口が開く前に子宮を切開して胎児を娩出させ、それから胎盤を取り出すわけです。これで正常の順番に戻す事ができます。

ただ分娩がいつ始まるかは神のみぞ知る? 予定日に生まれるとは限りませんね。子宮口が開き始めれば、胎盤と子宮口が剥離するので出血が始まります。その前に胎児を娩出しなければなりません。正常な分娩時期は37週に入ってからですが、それより前に陣痛が来ることもあります。かといって早く手術をすれば成熟前の胎児が誕生することになってしまいます。お母さんの子宮は保育器なので、成熟するまでお母さんのおなかの中で育てたいですね。現在は超音波検査によってあらかじめ前置胎盤の診断がつくようになりましたので、予定日より早めに入院することになります

かつては内診によって先進部分が胎児ではなく胎盤であることを知りました。そのときの内診所見は奇褥感(きじょくかん)と呼ばれるもので、胎児の頭部や殿部とは異なる感触です。前置胎盤であれば、内診の刺激でも出血することがありますので内診は極力控えます。

それではさっそく問題と選択肢を一つずつ見ていきましょう。

前置胎盤の出血は、子宮口に覆い被さっている胎盤と、子宮口との剥離による外出血ですので、選択肢1は誤りです。選択肢2ですが、前置胎盤の原因の多くは着床を妨げるような子宮内の問題などです。つまり、妊娠に至るスタートの段階でのリスクですね。妊娠によって発症する妊娠高血圧症候群によるものではありません。したがって、こちらも誤りです。選択肢4は、ページ上部の図にあるように、内子宮口に下縁がかかるものから前置胎盤に該当します。ですから、これも誤り。最後に選択肢3ですが、前置胎盤の主な症状は無痛性の外出血です。よって、これが正解です。

いかがでしたか? 母性の勉強をしていると、元気に生まれるということ自体が奇跡だと思わずにはいられません。今ある命に感謝をし、感動しながら日々の時間を過ごさなければと思います。それではまた

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看護国試予備校さわ研究所の代表。年間のべ10,000人の看護学生に講義し、現職のナースに元教え子も多数。
【著書】「ここからはじめる!看護国試必修対策テキスト」(啓明書房)、「ちびっこ看護ハンドブック」(さわ研究所)、「これで完璧!看護国試過去問完全攻略集」(啓明書房)、「さわ先生の誌面講義」(医歯薬出版株式会社)