第9回[成人看護学]55歳の男性。痛風で加療中である。…指導で適切なのはどれか

看護国家試験対策講義

成人看護学

[設問] 55歳の男性。痛風で加療中である。仕事上の付き合いで飲酒を伴う外食の機会が多い。指導で適切なのはどれか。【第99回】

1.アルコールの摂取制限をする。
2.短時間の激しい運動を推奨する。
3.尿量の目標は1リットル/日以下とする。
4.発作時は尿酸生成抑制薬の服用を促す。

(「これで完璧! 看護国試過去問完全攻略集2011年版 ●さわ研究所編/啓明書房刊」より)

「風が吹いても痛い!」という痛風は、尿酸のたまりすぎで発症します。

みなさんこんにちは!
今回一緒に勉強するのは痛風についてです。一般の方もよくご存知の名前だと思いますし、珍しい病気ではないですね。みなさんの身近な人にもいらっしゃるかもしれません。しかし、「風が吹いても痛い!」って、どれほどの痛みなのでしょうね。それでは早速勉強していきましょう

私たちの体は60兆個の細胞でできています。この細胞には遺伝子があり、遺伝子は核酸という物質からできています。私たちの細胞にはそれぞれ寿命があって、古くなった細胞は分解され、新しい細胞を作るという新陳代謝を繰り返しています。細胞が分解されると、核酸も分解されます。核酸が分解されるとプリン体(プリン核を持った塩基)というものになり、さらにプリン体は肝臓で分解されて尿酸になって、尿中に排泄されていきます。

細胞の分解→核酸の分解→プリン体→肝臓→尿酸→腎臓→排尿

ちなみにこのプリン体はデザートのプリンとは何の関係もないですよ(笑)。またプリン体は食品の中にも含まれていますので、飲食によっても体内にプリン体が入ってきます。実はプリン体は水に溶けやすいのですが、尿酸はとても溶けにくいので、尿酸が増え過ぎると、きれいに溶けずに関節内に尿酸ナトリウム結晶として沈着してしまい、急性の関節炎が起きてしまうのです。これが痛風で、関節炎発作を痛風発作といいます。血清中の尿酸は7mg/dl程度で飽和状態に達するといわれていますので、それ以上になると結晶化する可能性があります。つまり体内の尿酸が増えすぎて高尿酸血症になると、排泄されない尿酸が関節にたまって炎症が起きて痛風になるわけです。体内で産生される尿酸やプリン体を多く含む食品の摂取はもちろんですが、尿酸は腎臓から尿中に排泄されるわけですから、排泄がうまくいかなくなっても体内にたまります。それから激しい運動をして筋肉を使うと、プリン体とは少し異なりますが、代謝によってやはり尿酸が産出されるのです。このように尿酸は絶えず私たちの体内で増える物質なので、単に食事制限だけで治すことは難しいのですが、当然プリン体を多く含む食品の摂取量を減らすことは大切です。そして体内にたまった尿酸を排出するためにも、水分を十分(1日2リットル以上)摂取して、 尿の量を増やすことが対処法の1つです。

また、女性ホルモンには腎臓からの尿酸排泄を促進する作用があるため、一般に、成人では男性の方が女性より尿酸値が1~2mg/dl 高く、高尿酸血症の発症率も男性に比べて閉経前の女性では少ないといわれています。しかしビールをグビグビ飲み、「あんきもに、白子ポン酢に、レバ刺し!」なんて注文していると、女性と言えども危険ですね。

「風が吹いても痛い!」という痛風は、尿酸のたまりすぎで発症します。

ちなみにプリン体の多い食品は下記の表の通りです。アルコールは、たくさんプリン体を含んでいるだけではなく、尿酸の排泄を妨げたり、尿酸の合成を促進する作用がありますから控えた方が良いのです。特にビールは危険です。それでも飲みたい!?人達のために「プリン体99%カット!」などをうたい文句にしたビールが誕生しているようです。

プリン体を含む食品(参考1人前)
非常に多い食品 アルコール類
あんきも 199.6mg ビール大瓶1本 32.4mg
白子 152.8mg 日本酒1合 2.2mg
レバー 122.2mg ワイン グラス1杯 1.0mg

ところで風が吹いても痛いという痛風の症状ですが、初発は約90%の患者さんが単関節炎の形をとり、片側の足の親指の付け根(第1趾中足趾骨関節)に突然激しい疼痛と腫脹が発症します。これが痛風発作です。症状は24時間以内にピークとなり、通常 1~2週間で完全に消退することが多いようです。関節腔内にたまった尿酸ナトリウム結晶に対して、液性因子やサイトカインの産生など、白血球が攻撃をしかけることで炎症症状を発現させてしまうのです。また痛風結節といって尿酸結晶が皮下にもできることがあります。耳たぶや肘関節の裏側など、体温の低いところにできやすく、これ自体には痛みはありません。
痛風の治療
さて痛風の治療ですが、なんといっても尿酸をためないことが大切なのですから、プリン体の多い食事を摂らないことが重要です。そしてプリン体だけではなく、カロリーの取りすぎを制限します。実は内臓脂肪型の肥満があると、尿酸の産生が促進されたり排泄が抑制されてしまうのです。ですから標準体重を維持することが欠かせません。そのためにも有酸素運動を取り入れることが大切です。逆に激しい運動は発作を誘発しますので避けるようにします。また薬はコルヒチンという痛風発作にとてもよく効くものがあります。コルヒチンは関節内に白血球が集まることを阻止する作用がある薬です。したがって炎症が起きてしまってから効く薬ではないので、前兆の段階ですぐに使うことが大切です。多量に飲むと、吐き気や腹痛、下痢などの胃腸障害が必ずあらわれますから短期間で中止します。長期投与によって出血傾向などの血液障害や、発疹、かゆみ、脱毛、精子の減少や異常などが報告されています。また、発作を繰り返す場合には、定期的に尿酸値を測定し、尿酸の産生阻害剤(アロプリノール)と排泄促進剤(プロベネシド)を使って予防することもあります。激しい発作が起きてしまった場合には非ステロイド性抗炎症薬を用います。そして罹患部を高く上げ、うっ血を避け、冷湿布などを行います。

それでは問題を見てみましょう。選択肢1は正しい指導ですが他は誤りです。選択肢2は、痛風にとって肥満は大敵ですから、継続的に無理のない運動が大切です。しかし激しい運動は発作の誘因になりますので避けなければなりません。選択肢3は、十分な水分をとって尿量を増やすことで尿酸の排泄を促すわけで、水分制限は発作につながります。選択肢4の尿酸生成抑制薬は発作薬ではなく、日頃の尿酸値を低下させる目的で用います。発作の際にはできるだけ速やかにコルヒチンを使い、急性炎症を抑えるためには非ステロイド性抗炎症薬を用います。

これから忘年会のシーズンです。尿酸値が高めのお父さんがいらしたら、痛風について医学的にお話してあげて下さい。あなたがそばを通るだけで「痛い!」などということが起きませんように。それではまた。

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看護国試予備校さわ研究所の代表。年間のべ10,000人の看護学生に講義し、現職のナースに元教え子も多数。
【著書】「ここからはじめる!看護国試必修対策テキスト」(啓明書房)、「ちびっこ看護ハンドブック」(さわ研究所)、「これで完璧!看護国試過去問完全攻略集」(啓明書房)、「さわ先生の誌面講義」(医歯薬出版株式会社)