第8回[精神看護学]昇華という防衛機制の説明で正しいのはどれか。

看護国家試験対策講義

精神看護学

[設問]昇華という防衛機制の説明で正しいのはどれか。【第95回】【第88回】同問

1.破壊的衝動をスポーツや文化的な活動に向ける。
2.怒りの感情を直接相手にぶつけず物にあたる。
3.嫌いな人に対して必要以上に丁寧に接する。
4.他人の考えや良い面を模倣する。

(「これで完璧! 看護国試過去問完全攻略集2011年版 ●さわ研究所編/啓明書房刊」より)

私たちはできれば傷つきたくないと思っていて、無意識に防衛本能が働いています。

みなさんこんにちは!

今回一緒に勉強する過去問題は、精神看護学から出題された問題です。この問題は88回と95回が全く同じ問題として出題されていますが、実は防衛機制を問う問題は、この他にも83回、89回、94回、97回、98回に出題されており、とても出題率が高い問題です。それではさっそく防衛機制について勉強しましょう。

私たちは、できればどんな時も傷つきたくない、と思っていますよね。例えば、友達に嫌われたくないとか、受験するからには失敗したくないといった気持ちが誰にでもあると思います。しかし思い通りにならないこともあり、生きていれば毎日さまざまな問題に直面するわけです。そしてストレスに直面したとき、自分がとても傷ついてしまわないように、無意識のうちに心を守ろうとする反応が起こります。これが防衛機制です。防衛機制にはいくつか種類があります。

例えば失恋したとき、ひたすらテニスサークルでの練習に打ち込み、悔しくて大声で泣きたい気持ちを無心にボールを打つことで紛らわし、その結果試合で良い成績を上げてみんなに誉めてもらえた・・・、このように自分にとって傷つく感情を、社会的に認められる健全な形に切り替えることも防衛機制のひとつであり、これを『昇華』といいます。また思春期に性的な欲求が高まる気持ちをスポーツで燃焼させることなどもこれに当てはまります。それではこの他の防衛機制についても、代表的なものについてお話ししましょう。

抑圧:防衛機制の代表的なもので、自分が受け入れられない考えや不安な感情、あるいは不快な記憶を否定し、表面化しないように無意識の中に閉じこめたり、無理矢理忘れようとしたりすることです。しかし忘れられるものではなく、押し込めていても意識の中に出てこようとします。

反動形成:自分の素直な感情とは反対の態度で相手に接することなどをいいます。例えばアルコール依存症で入院治療を受けている患者が、入院させた医師をひどく恨んでいるとします。しかし、そんな気持ちはみじんも出さないように礼儀正しく、好感を抱いているように振る舞う、などが反動形成にあたります。

退行:「赤ちゃん返り」の言葉に表されるように、発達段階が逆戻りすることをいいます。例えば赤ちゃんが生まれると、それまでは自分の事だけをしてくれていたお母さんが、赤ちゃんの世話に追われて「お兄ちゃんになったんだから我慢して」とか「今は赤ちゃんのお世話をしているのだから、待っていてね」などと言われ、寂しくて悲しい気持ちになるわけです。そうするとおむつが取れていたのにお漏らしをしたり、赤ちゃんの哺乳びんを取り上げて飲んでみたりするようになることがあり、これを退行現象といいます。大人でも、辛いことがあると子供の頃にかえって大泣きをする、などもこれに該当します。

投射(投影):例えば父親のことを憎んでいる人が、「父が私を憎んでいます。父が私を攻撃してくると思うと恐ろしい」などと話したりします。このように自分にとって不快となる感情や欲求を心の中から追い出して、他人の感情や欲求としてとらえる事をいいます。

置き換え:怒りの感情を直接その相手に向けるのではなく、他の人や物にあたる行為をいいます。上司にしかられたとき、上司に怒りをぶつけることはできないために部下に八つ当たりするとか、ゴミ箱を蹴飛ばすなどの行為これに該当します。

同一化:自分にとって、あこがれの対象や優れていると思っている人と同じでありたい、という欲求を満たすために、その人と同じ格好をしたり、口癖や行動をまねして自分の中に取り入れようとします。そうすることで私もあの人と同じであると認識でき、満足感や不安が解消できる様子をいいます。例えば、お母さんと結婚したいと思ってもかなわないため、お父さんに似ることで仮想結婚しているような安心感を得る男の子などがこれに該当します。

合理化:自分の行動や言動に罪の意識や後悔が伴うとき、それを素直に認めることで傷つきたくないという防衛が働きます。そこで自分の行為を正当化し、理由付けを行うことを合理化といいます。例えばテストで合格点をとれずに再試験になってしまったとき、自分が十分勉強しなかったと思うより、この問題が悪い、先生の教え方が悪い、などと責任転嫁することが合理化です。高い木になっているブドウをとることができないキツネが、その欲求を打ち消すために、「きっとあのブドウは酸っぱくてまずいからいらない」と考える、という話は有名です。

それでは問題をみてみましょう。

「昇華」に該当するのは選択肢1ですね。 選択肢2は置き換え、選択肢3は反動形成、選択肢4は同一化ですね。

自分の心が壊れてしまうことを防ぐためのブレーキが防衛機制なので、防衛機制がすべて悪いわけではなく、またすぐに精神的な疾患に結びつくものではありません。しかし、長期にわたってブレーキを踏み続けていると壊れてしまうこともあります。そのとき心のバランスが崩れて疾患につながるのです。ストレスとどう向き合うかは人それぞれです。国家試験は受験生みんなのストレスでしょう。しかし同時に自分の心をきたえるハードルでもあると思います。乗り越えられないハードルではありません。絶対大丈夫! 頑張りましょう! ではまた

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看護国試予備校さわ研究所の代表。年間のべ10,000人の看護学生に講義し、現職のナースに元教え子も多数。
【著書】「ここからはじめる!看護国試必修対策テキスト」(啓明書房)、「ちびっこ看護ハンドブック」(さわ研究所)、「これで完璧!看護国試過去問完全攻略集」(啓明書房)、「さわ先生の誌面講義」(医歯薬出版株式会社)