第5回[必修]ストレス下で分泌されるホルモンはどれか。

看護国家試験対策講義

第99回必修

[午前 2] ストレス下で分泌されるホルモンはどれか。【第99回】

カルシトニン
アドレナリン
バソプレシン
エリスロポエチン

(「これで完璧! 看護国試過去問完全攻略集2011年版 ●さわ研究所編/啓明書房刊」より)

お元気ですか?
今回は今年の国家試験問題を使って勉強していきましょう。この問題は必修問題として出題されました。必修問題は、看護師免許を与える上で「必ず知っておいて欲しい知識」を問うものです。

ストレス発見の歴史

「実習のストレスで・・」とか、「国家試験が大きなストレスになっています」など、現代社会ではあたりまえに使っているストレスという言葉ですが、そもそも、ストレスという言葉はどのようにして生まれたのでしょうか。
実は今から約70年前のこと、カナダのハンス・セリエという人の研究によって使われるようになった言葉なのです。セリエは医学部の学生でした。教授について患者さんのベッドを回っていると、「患者さん達はそれぞれ違う病名にもかかわらず、みんな同じ症状をしている、何故だろう?」と言う疑問を持つようになりました。
その疑問に対して教授は、「みんな具合が悪いのだから、あたりまえでしょう」と答えました。しかしセリエは、具合が悪いといっても、疾患はそれぞれ違うのだから、皆が一様に同じ症状を示すことに納得できなかったのです。その後セリエはホルモンの研究に取り組み、その研究の中でストレスのメカニズムにたどり着くのです。

アドレナリンは戦うために必要なホルモン

アドレナリンは戦うために必要なホルモン
私たちの体にストレスが加わると、体はその原因に立ち向かい、闘って、打ち勝とうとします。このような状態になると、体内からアドレナリンという物質が放出されます。アドレナリンは闘うために必要なホルモンなのです。私たちの毎日の生活は刻一刻と変化し、思いもよらない事の連続です。突然大きなクラクションにびっくりしたり、他人からの言動や振る舞いに腹を立てたり、電車の中で、つい気持ちよくうたた寝をしてしまったら乗り過ごしてしまい、「キャー大変! 間に合わない!」と慌てふためいたり・・。このようにびっくりしたり、怒ったりするたびにアドレナリンが分泌されるのです。

アドレナリンは戦うために必要なホルモン

アドレナリンは戦うために必要なホルモン
アドレナリンの分泌を命令する神経は自律神経のひとつである交感神経です。絶えず変化する環境に対して、私たちの体では主に自律神経が対応しているのですが、自律神経には闘う神経として交感神経が、リラックスする神経として副交感神経があります

アドレナリンは戦うために必要なホルモン
交感神経が、「さあ、闘おう!」と頑張ると、腎臓の上についている副腎にその興奮状態が伝わり、副腎髄質と呼ばれる副腎の中心部分からアドレナリンがたくさん分泌されるのです。そしてアドレナリンは体を闘うモードに切り替えます。闘うわけですから、エネルギーを消費しますので、細胞にたくさん血液を運ばなければなりません。そこで循環器の働きを高めます。たくさん酸素を取り入れるために気道を広げます。闘う相手から目を逸らせないように瞳孔を広げます。闘う最中にトイレに行っている場合ではないので、膀胱は収縮せずに尿をためてくれます。のんびり食べている場合ではないので、体内にある栄養分で血糖値を上げてくれます。これらがアドレナリンの作用です。強いストレスを感じているときは食欲がなくなったりしますよね。これはアドレナリンのせいだったんですね。さわ研究所の講師達は、講義がある日の昼食は皆控えめです。中には召し上がらない先生もいらっしゃいます。全身のエネルギーを使って講義をしますので、血糖値が高くなっており、空腹感もないからです。しかしひとたび講義が終わるとホッとして、たくさん食べるのです。このようにアドレナリンは闘うために分泌されるホルモンですが、これを治療に使うことも出来ます。心臓の働きを強くしたいとき、あるいは気道を広げたいときは、アドレナリンと同じ作用の薬(薬品名もアドレナリンといいます)を使います。また逆に心臓の働きを弱めたいときは、アドレナリンの働きを妨害する薬を使えば良いのです。アドレナリンの作用を受け付ける細胞を標的細胞といい、受け付け窓口を受容体といい、受容体はα1・α2・β1 ・β2などいくつか種類があります。薬理の勉強をしているとβ刺激薬とか・β2遮断薬などという名前が出てくると思います。ストレス下で分泌されるホルモンはアドレナリンと覚えておいてくださいね。

選択肢を見ていきましょう・・・

ちなみに選択肢1のカルシトニンというのは、甲状腺から分泌される物質で、血液中のカルシウム濃度が上昇すると、このカルシウムを骨に移動させるホルモンです。

選択肢3のバソプレシンは、脳下垂体後葉から分泌されるホルモンで、腎臓の尿細管に働きかけて水分を血中に再び吸収させる作用を持つものです。言い換えると水分を尿として捨ててはいけないと命じるので、抗利尿ホルモンと呼ばれています。

選択肢4のエリスロポエチンは、腎臓から分泌されるホルモンで、赤血球作りを促す作用を持っています。カルシトニンもバソプレシンもエリスロポエチンも、とても重要なホルモンなので、またの機会に改めて詳しく勉強しましょう。

ナースのたまごを読んでいる皆さんは、これから受験や、実習、日々の課題を通してストレスと向き合うことが多くなるかも知れません。しかし、ストレスは悪い事ばかりではなく、目標に向かって自分を高めるためには欠かせないものであり、人生のスパイスなんて言葉もあるんですよ。全くストレスがなくなる事はあり得ないので、今から自分なりのストレス解消法を見つけておくと良いかもしれません。

適度なスパイスは人生を深めてくれることでしょう。ではまた

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看護国試予備校さわ研究所の代表。年間のべ10,000人の看護学生に講義し、現職のナースに元教え子も多数。
【著書】「ここからはじめる!看護国試必修対策テキスト」(啓明書房)、「ちびっこ看護ハンドブック」(さわ研究所)、「これで完璧!看護国試過去問完全攻略集」(啓明書房)、「さわ先生の誌面講義」(医歯薬出版株式会社)