第3回[母性看護]産婦への援助で最も適切なのはどれか?

さわ和代

母性看護
今回は母性看護のお話です。
妊婦さんに規則的な陣痛(※1)が始まると、いよいよ分娩の開始です。ここから子宮口が全部開く※2までの間が分娩第1期です。この時の陣痛を開口期陣痛といいます。分娩に要する時間の大半がこの第1期に費やされます。

※1規則的な陣痛・・・10分以内に必ず次の陣痛がくる(1時間に6回以上陣痛がある)が定義です。この時を陣痛発来といいます。
※2子宮口が全部開く・・・全開大といい、子宮頸管が10cm開き、100%展退することです。

第1期の看護
第1期の看護
初めて出産するひとの子宮頸管は、経産婦さんより硬くて開くのに時間がかかります。事例では子宮口4cm開大とありますので、初産婦さんでは全開大まであと3~4時間かかると思われます。この時期の援助の基本は、第2期の児の娩出のために、何といっても体力と精神力を温存することです。そのためには産痛を最小限にするケアや、エネルギーの補給、『産む』ことへのモチベーションを上げる事などが必要です。

破水
胎児は、卵膜の中で羊水に浮かぶように存在しています。陣痛によって子宮口が開いてくると、胎児も少しずつ下がってきます。すると胎児の頭と子宮口の間に風船の様な胎胞と呼ばれる物ができます。これは子宮口を広げる役目も果たします。この胎胞が破裂して羊水が流れ出ることを破水といいます。子宮口を広げる役目もあるので、全開大の時に破水することが適時破水といって最も望ましいのですが、途中で破水してしまうこともあります。これを早期破水といいます。卵膜が破けて破水した段階で、そこからばい菌が入る可能性が出てきますので、胎児への感染が起こりやすくなってしまいます。


では、子宮口が全部開くまで破水させないためにはどうすれば良いでしょうか。それはいきまないことです。いきみのことを努責といいます。陣痛によって子宮の内圧があがるので、その時にいきむと、更に内圧が上がって胎胞が破裂しやすくなってしまいます。ですから子宮口全開大まではいきまないよう指導することが大切です。どうしても発作の際に自然にいきみが入ってしまう時は、口を開けて短く息を吐はいてもらうと良いでしょう。

もし早期破水してしまったら、腟からばい菌が入らないように入浴などは控え、清潔な当て物をします。そして産婦さんにも手をきれいに洗ってもらい、外陰部に触れないよう注意を促します。またそれ以上に医療従事者の感染予防への対応が欠かせないことは言うまでもありません。

産婦さんはマラソンランナー
産婦さんはマラソンランナー
長時間に及ぶ陣痛は子宮筋の収縮ですから、丁度マラソンを続けているように体力を消耗します。汗もかきます。第1期にはしっかりエネルギーと水分の補給をすることが大事です。分娩が始まっても、決して病気になってしまった訳ではないですから、好きな物、食べやすいものを口にできる様、配慮しましょう。ちなみに私は、レモンの薄切りにハチミツをかけた物を家族に差し入れてもらって、第1期を乗り切りました。

『案ずるより産むが易し』という言葉がありますが、初めての時は誰でも不安と緊張でいっぱいになるものです。産む主役は産婦さんです。私たちは産婦さんを応援し、励まし、良き協力者として精一杯サポートし、産婦さんがすばらしい経験が得られたと満足できるよう援助していきましょう。

それでは国家試験の問題にチャレンジしてみましょう。

1.飲食を控える? エネルギーと水分の補給が大切なのですから×ですね。

2.努責を勧める? 第1期は努責しないように指導するのですから×ですね。

3.分娩室に移送? まだ4cmしか開いていないので分娩室に移る必要はありません。正常に経過している初産婦さんなら子宮口が全開大してからで十分です。

4.この事例は未破水とありますので、シャワー浴は可能です。汗を流したり、血行を良くしたり、気分転換を図ることができるので、シャワー浴はとても良いことです。

よって正解は4です。

では、また!

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看護国試予備校さわ研究所の代表。年間のべ10,000人の看護学生に講義し、現職のナースに元教え子も多数。
【著書】「ここからはじめる!看護国試必修対策テキスト」(啓明書房)、「ちびっこ看護ハンドブック」(さわ研究所)、「これで完璧!看護国試過去問完全攻略集」(啓明書房)、「さわ先生の誌面講義」(医歯薬出版株式会社)