レポート指南~第3回 「あなたの考えを述べなさい」

レポート指南

生命倫理の授業で、「妊娠中絶(堕胎)について、あなたの考えを述べなさい。」という課題が出ました。これから生まれてくるであろう命を絶つことは人殺しのようでもあるし、けれど望まない妊娠をして出産した友達を見ると、「産むべきでないケース」もあるように感じます。問題が大きすぎて、私の考えがまとまりません。どうしたら良いのでしょう?   (大阪府、大学3年)

倫理のレポートでは、「答え」を決める必要はありません。

生命倫理や医療倫理の分野には、「誰もが納得できる答え」がありません。常に、どうしたら良いのか?本当にこれで良いのか?と問い続けることしかできないのです。妊娠中絶についても、多くの人がジレンマ(2つの矛盾した考えの間で悩むこと)を抱えます。産むという選択も中絶するという選択も、誰もが両手を挙げて歓迎する「答え」ではありません。けれど、当事者はどちらかを選ばなければならないのです。

だから倫理のレポートを書くときは、特に指示がなければ、「答え」を決める必要はありません。自分の中にある迷いに、素直に向きあえば良いのです。

自分がもし望まない妊娠をして(させて)しまったらどうするか?「中絶する」場合と、「産む」場合のそれぞれについて、自分が何を思い、周囲が何を思うかを想像してみましょう。友達が中絶したらどう思うか、望まぬ子を産んだらどう思うかを想像してみましょう。

それぞれについて、自分の思いや考えを忠実に書いていくうちに、自分ならどういう決断をするかが見えてくることもあります。「結論」や「優等生的な答え」にこだわるだけでなく、自分の「迷い」や「弱さ」に気づくことが、医療者として、人間としての幅や深さを作るのです。